どうも!坂井です。
今日はちょっと、いや、けっこう難しい話になるのですが。国際課税について…
海外に住みながら日本の不動産を取得、賃貸、または譲渡する場合、日本でどのような税金が課されるかご存知でしょうか?
居住国によって多少の違いはありますが、今回はシンガポール在住者を例に、消費税や所得税について分かりやすく解説していきますね。
1. 海外居住者と日本の税制の基本的な関係
まず大事なのは、日本の税制では「居住者」か「非居住者」かで課税方法が異なります。
- 非居住者とは、原則として日本に1年以上住んでいない人を指します。
- シンガポール在住者であれば、日本では非居住者として扱われるのが一般的です。
非居住者が日本の不動産を取得、賃貸、譲渡する場合、日本国内で得た所得が「国内源泉所得」として課税対象になるんですよね。
2. 不動産取得時の消費税
不動産の取得時、課税対象になるかは以下の通りです:
- 土地:非課税
- 建物:課税(消費税10%)
例えば、シンガポール在住者が日本の不動産会社からマンションを購入した場合、建物部分に消費税が課されます。ただし、個人間の売買では消費税は発生しません。ちなみに土地には消費税が課されないいのですが、これは土地が消費できない資産だから、ですね。
3. 不動産賃貸時の課税(所得税・消費税)
所得税
不動産の賃貸収入は、日本国内源泉所得として課税されます。
- 税率:20.42%(所得税+復興特別所得税)→なんとなーく20%くらいと覚えていただけると。
- 源泉徴収:非居住者の場合、賃料支払者が源泉徴収し納付する義務があります。
たとえば、賃料が月10万円の場合、源泉徴収後の手取り額は約79,580円(10万円 × 20.42%)となります。
消費税
- 居住用物件(賃借人が住むために借りる場合):非課税
- 事業用物件(オフィスや店舗など):課税(消費税10%)
賃貸物件に住まれている方は、その賃料には消費税が含まれていないはずです。
ただし、事業用物件には課税されるなど、賃貸契約の内容によって消費税の適用が異なるので注意が必要です。
4. 不動産譲渡時の課税(所得税・住民税)
所得税
不動産を売却した場合、譲渡所得に対して課税されます。
- 課税方法:
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下):税率30.63%(所得税+復興特別所得税)
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):税率15.315%
譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用)
たとえば、10年前に取得した不動産を売却し、売却額は1.2億円、譲渡費用1000万円、取得費が8000万円の場合:
- 譲渡所得 = 1.2億円 – (8000万円 + 1000万円) = 3000万円
- 長期譲渡所得の税額 = 3000万円 × 15.315% = 459.45万円
住民税
非居住者には通常住民税は課されません。日本に住んでいないですからね。
5. 租税条約の影響
シンガポールと日本の間には租税条約(日星租税条約)が結ばれており、二重課税の回避や税率軽減が規定されています。たとえば:
- 不動産賃貸収入や譲渡所得について、シンガポールでの課税対象になる場合は、租税条約を利用して日本での課税分を調整できます。
- 条約を適用するには「租税条約に関する届出書」を日本の税務署に提出する必要があります。
6. 具体的な対応策
- 事前に専門家に相談:税理士や国際税務の専門家に依頼して、事前のシミュレーションを行う。
- 源泉徴収と申告を確認:賃料収入がある場合、賃借人が源泉徴収を適切に行っているか確認しましょう。
- 租税条約の活用:課税軽減のために条約を有効活用する。
まとめ
日本の不動産をシンガポールから管理・運用する場合、消費税や所得税のルールを正確に理解しておくことが大切です。税務リスクを最小限に抑え、利益を最大化するためには、適切な計画と専門家のサポートが不可欠ですね。
ではでは、税理士 坂井でした〜
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